オセロおじさんとダイヤモンド

2026.06.10

介護専門学校に通うある一人の青年がいました。彼は中学生から介護の職につくことを心に決め、介護専門学校に進んだのです

しかし施設での実習の際に、想いや考えとはあまりにも違うその施設に耐えることが出来ず「もう介護士なんてどうでもいいわ…」となってしまいました

それから半年間、今まできちんと行っていた学校も休みがちに…

そこで助けてくれたのが、共に介護職を志す仲間。仲間が声をかけてくれなければ、この先はなかったかもしれない

二度目の実習のとき、ある一人のおじさんと出逢った。そのおじさんは子供のころからの小児麻痺で、この介護施設の前には障害者施設で時を過ごしていた

可能なことは、
・うなづき
・表情(顔のしぐさ)
・右手首から先が少し動くこと
の3つ以外は麻痺しているということ

実習の1ヶ月間、そのおじさんと関わることを知った彼は不安だった

こんな仕事やめよう…という思いの中、障害者の方とのコミュニケーション。「こんな今の自分に果たしてできるのだろうか?」と

しかし時は待ってはくれず、1ヶ月間の実習が始まった

おじさんは一緒にオセロをしようと誘ってくれた。もちろんそれは口から発する言葉でなく、五十音が書かれたボードを彼が指差し、おじさんがうなづく、ひとつひとつを並べて初めて文章になる。そんなやりとりで「オセロをやろう」と言ってくれたのだ

オセロは日課となり、毎日対戦した
勝敗は…

初めて対戦した初日、結果、惨敗
二日目、惨敗
三日目、惨敗
四日目、惨敗
  ・
  ・

彼が弱いのか?おじさんが強すぎるのか?
実は初日から、一勝もせず、ずーっと負けっぱなしだった

そして実習最終日、いつもどおり始まったオセロ。彼がおじさんの置きたいマスを指差し、おじさんがうなづき、そこに置く。その繰り返し

1ヶ月もおじさんとオセロをしていたので、大体どこに置くか察しがついていた。それでも負ける彼なのだが…

途中から、いつもおじさんが置くであろう、予測していたマスと違うマスにうなづくことに氣づいた…

「あっ!おじさん、僕を勝たせようとしてくれている!」

おじさんは負けようとしていたのだ

一ヶ月も負けっぱなしの彼に対してのおじさんの優しさに氣づいた彼は、何も気づかないふりをして、最後のゲームに勝った。最初で最後の勝利だった

ふと、おじさんの顔を見ると、今までにまして最高の優しさ溢れる笑顔だった

五十音ボードを取り出し、おじさんがうなづく言葉をたどった

「あ」
「り」
「が」
「と」
「う」

オセロおじさんとの出逢いがキッカケで、オセロを毎日する中で彼は「よしっ、もう一度やってみよう!」と“本氣のヤル氣”の気持ちにさせてくれた

介護士になった彼
あれから数年の月日が経った今日、この夏に彼女にプロポーズするためにダイヤを求め、ウチのお店に来てくれて、この感動の話を聴かせてくれた

僕は彼の話を聞きながら目に涙をためた

なんともいえない素晴らしい彼との時間だった…
いつも、こんな素敵な話の隣にいられる私達は、しあわせ者です(*^_^*)

ダイヤモンド神山 店主 拝

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